ストレスを感じながらも何とか折り合いをつけながら、日々を生きている方は多いです。そしてストレスによるさまざまな症状が出てしまって、不安や悩みを抱えている方も少なくありません。
ストレスはいろんな場面で感じるものですが、特にビジネスやオフィスをステージとしたものが大きな部分を占めているとされています。
厚生労働省の令和2年「労働安全調査(実態調査)」によれば、仕事や職業生活に関することで、強い不安やストレスを感じている労働者の割合は54.2%に上っています。
今回ご紹介するマインドフルネスは、世界的な企業が導入し、成果を上げたことで世の中に広く伝わるメソッド(方法)となりました。世界的な企業とは、グーグルやアップル、ゴールドマンサックスなどです。
ストレスによる心や体への影響は、容易に目に見えるものではないので、はっきりとした自覚症状のないまま重篤化していることがあります。実際、「こころの病気」で医療機関に通院している方は少しずつですが増加しています。
ストレス社会を健康的にいきるため、こころの病気にかかるのを予防するため、マインドフルネス・メソッドを活用しようというのがこの記事の狙いです。
自分の意識に目を向け、意識と身体のバランスをコントロールしてみましょう。
そのために必要な以下のことについて紹介します。
- マインドフルネスの概要と効果
- マインドフルネスに向かうための準備
- マインドフルネス呼吸瞑想のやり方
マインドフルネスに関心はあるけれど、内容についてはよくわからないという方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
マインドフルネスとは
マインドフルネスの定義は、「意図的に、今この瞬間に、価値判断することなく注意を向けること」となっています。
マインドフルネスの対極の状態をマインドレスとかマインドレスネスと言います。マインドレスとは、今この瞬間に集中できていない状態です。
この状態が続くと、未来への不安や過去への後悔で心がいっぱいになり、本来すべきことを見失ってしまいます。
さらに「こうあるべき」「こうしなければならない」という固定観念に縛られ、ステレオタイプの手法で周囲の状況をコントロールしようとします。しかしこれでは、刻々と変化する周囲の状況をコントロールすることはできません。
それを無理強いしてコントロールしようとすると、自分自身にも周囲にもストレスという負荷がかかってしまいます。特にビジネスの現場においては絶対的な基準などはなく、状況に応じて調整や譲歩が求められます。
自分の意識や心をマインドフルネスにして、生き生きとした思考方法で柔軟に捉え、自分らしく最善の方法を見つけ出すことを目指すべきです。
マイルドフルネスがもたらすもの
マインドフルネスとは、呼吸法や瞑想をベースにしたトレーニングで、「今、この瞬間」に注目するためのメソッドです。
難しいものではなく、時間もさほど取らないトレーニングです。これらを続けることによってどんな効果を得られるのか説明します。
マインドフルネスの効果
突然、何年も前の失敗を思い出していたたまれなくなったり、実際には何も決まっていない将来のことで思い悩んだりする経験は誰でもあるはずです。
また、とにかく忙しさにとらわれてイライラしたり、気づいたら周囲の人を必要以上に怒ったりしていることもあるでしょう。
マインドフルネスで、「今、この瞬間」に集中することが習慣になると、このような「自分を見失っている状態」が少なくなっていきます。集中力が増して頭の回転は良くなり、心の強さも感じるようになるはずです。
日常生活を営む上で重要な、マインドフルネスの効果をまとめました。
2.自分の行動の意味や理由を明確にできる
3.自分にできるパフォーマンスを最大化できる
4.周囲と互恵的な関係を構築できる
5.周囲から受けるストレスを低減できる
6.失敗を成長のための「学び」にできる
7.生活と仕事を調和させることができる
次に、精神面や脳機能面、身体面から見たマインドフルネスの効果です。
・精神面
過剰な緊張やうつ状態の緩和、不安の軽減、ストレス耐性の向上
・脳機能面
集中力や記憶力が向上し、複数の仕事を並行して進めることが可能になる
・身体面
血圧や血中コレステロール、血糖値の低下、交感・副交感神経のバランスが整う
以上のような効果は、長年の研究や医療機関の臨床で科学的に証明されています。
マインドフルネスの注意点
マインドフルネスによって得ることができる精神的な安定感は、不安や怒り、ストレスを取り除きます。ただ、取り組むにあたっては、いくつか注意すべき点もありますので紹介します。
まず一番の注意点は、過度な期待と依存です。現実世界の不安や辛いことは、すべてマインドフルネスで解消できるからと長時間の瞑想などにのめり込むケースがあります。
結果を急ぎ過ぎて、日常生活をおくる上で自分の負担になるような取り組み方はおすすめできません。
また自分をと向き合うことで、自分の心の悩みや不安に、より繊細になってしまうことがあります。「正しく理解できただろうか」「やり方はこれでいいのだろうか」など疑心暗鬼になって、マインドフルネスを始める前よりも体調が悪くなってしまうケースです。
まれにマインドフルネス自体がストレスになることもあります。そういうときはマインドフルネスを一度休止したり、否定的な感情は受け流したりすることが必要です。
以上のような注意点を避けるためには、集中しなければならないという義務感は持たず、最初は1日5分程度の短いトレーニングに抑えましょう。10分程度の有酸素運動を取り入れるなどの工夫も効果的です。
なお医療機関に通院している方は、ぜひ担当医師にマインドフルネスに取り組んでいることを伝えてください。医師の医療方針に影響があるかもしれませんので。
マインドフルネスに向かう準備
スムースにマインドフルネスに取り組んで最大限の効果を得るために、事前に心構えを整えてマインドフルネスに向かう準備をしましょう。
意識を意識する
意識を意識するというと、何となく難しく感じるかもしれませんが、単純に「気づく」という捉え方で構いません。嫌な思考や感覚が体に起こったとき、意識する(気づく)ことで、その嫌な意識を抑えることができるようになります。
意識することで、その嫌な思考に飲まれなくなり、嫌な思考のエネルギーは自然に消費され落ち着いてきます。
気づくことができないで、嫌な意識の進入を許し続けると、こころや体に大きな負荷がかかります。そして否定的な考えが堂々巡りを始めて、言動や行動に影響を与え、マイナス方向へと進んでいくのです。
身体と意識のバランスが整っているとき、私たちはいきいきと自分らしく生きることが可能です。しかし日常的に押し寄せるプレッシャーや緊張のせいで、そのことを忘れてしまいます。
マインドフルネスを活用し、落ち着いたリラックスした状態で、「今、自分の意識はどんな感じ?」と気づくことが重要です。
身体の隅々まで意識する
自分の身体の隅々まで、「調子はどうなのか」と確かめるように意識することも大切です。
たとえば普段私たちは、他人から見られる顔や髪は毎日のように手厚くケアしますが、背中やお尻、足の裏についてケアする度合いは低いです。しかしどちらも、あなたの大事な身体の一部です。
身体の隅々まで意識することで「意識的に生きる」という習慣が形成されやすくなり、マインドフルネスの「今、この瞬間に注意を向ける」という意識づくりが楽になります。
以上のことは、身体意識の活性化のための第一歩でもあります。身体意識には、「内受容感覚的意識」「固有受容感覚的意識」「空間的意識」の3つがあります。
・内受容感覚的意識
臓器や心臓血管系の内的状態の感覚で、熱、冷たさ、温かさ、チクチク、ヒリヒリなどの感覚です。自分の感情状態を理解して、ストレスや疲労の度合いを判断するのに有効です。
・固有受容感覚的意識
身体の位置と動きの感覚のことで、無理なストレッチをしたり、関節が極端な位置に動いたりする筋肉や腱に走る感覚が高まります。
・空間的意識
空間にあるモノと自分の身体の位置を理解する能力のことです。地図を読んだり、空間の中での動きを調整したりするときにも必要です。
上記のように、意識は身体と密接に結びついており、一体化していると言っても過言ではないのです。マインドフルネスによって意識を整えることは、身体全体を管理することに直接的に結びつきます。
音や音楽を意識する
マインドフルネスを行うとき、音や音楽を活用することで、より効果的になるとされています。特に、まだマインドフルネスに慣れていない方におすすめです。
歌詞がないヒーリングミュージックやインストゥルメンタル、単なる発声やハミングなどが適しています。テンポが一定で、意識がそらされにくいメロディーがいいでしょう。
マインドフルネスで行われる呼吸法や瞑想は、静かな状態で行うよりも、音楽を聴きながらのほうがストレス軽減や集中力アップにつながりやすいという方は多いです。
雑念が入りづらくなり、呼吸に集中しやすく、よりリラックスしてストレスの軽減になります。
自然音の不規則があり、人を癒す効果のある「1/fゆらぎ」もマインドフルネスに適しているとされています。
音楽療法という言葉を聞いたことがあるでしょうか。音楽療法とは、音楽によるリラクゼーション効果を利用して、さまざまな患者さんの症状を緩和するものです。
マインドフルネスと音楽療法をミックスした取組み、「アクティブ・ディープ・リスニング」も実際に効果をあげています。
マインドフルネス呼吸瞑想
マインドフルネス呼吸瞑想によって、余計なことを考えない状態をつくりだすことで集中力と行動力がアップします。
自分の中で渦巻いていた過去の後悔や将来の不安がフラットになり、今やらなければならないことに集中し、行動を起こすことに「ためらい」がなくなるからです。
私たちは普段、ほぼ無意識に呼吸していているので、自分がどんな風に呼吸しているのか感じることは少ないです。この無意識の呼吸を意識的に行うことで、「今、この瞬間」を取り戻すのが「マインドフルネス呼吸瞑想」です。
マインドフルネス呼吸瞑想のやり方
実践する場所は、なるべく静かなところで、スマホは電源オフにして集中できる状態にしましょう。
・イスにあさく腰かけ、両足を少し開く
・頭の上から一本のヒモで引っ張られているイメージで背筋を伸ばす
・両手は膝の上、手のひらは上向きに
・目を閉じて、身体の力を抜いてリラックス
・自然な鼻呼吸を心がける
できれば複式呼吸で(息を吸うときお腹をふくらませ、吐くときにお腹をしぼませる)
・呼気が通る鼻の中やお腹の動きに意識を向ける
(お腹に入ってきたとき、「膨らむ、膨らむ」と意識してみるのも効果的)
最初は2~3分、慣れてきたら10~30分は続け、1日2~3回は呼吸瞑想で自分と向き合う時間をつくりましょう。
慣れないうちは雑念が浮かびますが、雑念を無理に追い払うのではなく、今自分に雑念が起きていると意識できることが大切です。そうすれば簡単に意識を呼吸に戻すことができます。
マインドフルネス呼吸瞑想のポイント
呼吸をするときのポイントは、自分が心地いいと感じる呼吸をすることです。
自然な呼吸が難しいと感じるときは、吐く息の終わりを意識しましょう。息を吐ききったところで、体が自然に息を吸おうとしてくるので、それに逆らわずに吸っていきます。
呼吸をするときに目を閉じますので、眠気が出てくるときがあります。目を閉じることと、眠りに入ることがイコールになってしまうからです。
呼吸している最中に眠気を感じるようでしたら、眠気を観察する意識をもちながら呼吸に戻ります。
眠くなって、どうしても呼吸に専念できないときは、まず適切な睡眠を確保しましょう。睡眠不足や過重な疲労感を感じているケースが考えられます。
その他の眠気対策としては、就寝前や食後は避ける、毎日継続して脳を慣らしていくなどが挙げられます。
まとめ
ここまで、マインドフルネスの概要と効果、向かうための準備、呼吸瞑想のやり方について紹介してきました。
マインドフルネス呼吸瞑想は、難しくなく、それほど長い時間を費やすものでもありません。しかし日常の忙しさや、さまざまなプレッシャーのせいで見失っている「今の自分」と向き合う貴重な時間となるはずです。
意識(心)と身体は一つであり、奥深い相互作用で結びついています。マインドフルネス呼吸瞑想をきっかけとして、この奥深い世界の入り口の扉を開いてください。
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