「いつもと何か違う、うつ病ではないか?」
「うつ病になると顔つきや行動はどうなる?」
「うつ病の家族や同僚にやってはいけないことは?」
厚生労働省が2017年に公表した調査結果によると、日本の「うつ病」の患者数(躁うつ病を含む)は127.6万人となっており増え続ける傾向にあります。
うつ病は、誰でもかかりうる「ありふれた病気」といえますが、重症化すると自殺のおそれのあるこわい病気です。
自分や身近の方が「うつ病」ではないかと疑われるとき、真摯に向き合うために覚えておいてほしいことを紹介します。
うつ病が増えている理由とは
うつ病が増えているのは、社会的な環境の変化に対応しきれていないことが理由の一つではないかと考えられます。
時流とともに半強制的に押しつけられるライフスタイルの変容、経済と社会の両面から押し寄せる圧迫感、ソーシャルメディアの急激な発達と逆説的に広がる孤独感などです。
幅広い世代で、多くの方が「生きにくさ」を感じています。特に、注目されているのは、若年層に増えている新型の「現代型うつ病」です。
これまでは、うつ病といえば、真面目で几帳面な40~50代の働き盛りの中高年男性が多いとされてきました。いわゆる専門用語で「メランコリー型」と呼ばれるうつ病です。
しかし現代では、20~30代の若年層のうつ病患者が増加しています。この現代型うつ病は、症状が状況に応じて変化し、他罰性(失敗や不幸を他人や環境のせいにする)や自己愛傾向が強いのが特徴となっています。
現代型は、悲しみやつらいこと、嫌なことなどを避けようとして攻撃的な問題行動を起こしやすいです。また、根底に「自分は生きていても仕方がない」などの深い悲観主義を伴うため、症状は長引きやすいとされています。
現在でも、うつ病の発症メカニズム自体は、まだ解明されていません。対症療法的に、回復を目指していくしかないのが現状です。
※メランコリー型うつ病
仕事や責務に過剰に適応している過程で、食欲不振や体重減少、気分の落ち込みなどで生活に支障をきたすようになる
うつ病とうつ状態の違い
うつ病でなくても、悲しいことやつらいことがあると気分は落ち込むものです。このような憂うつな気持ち、落ち込んだ気分などの症状を、精神科では「抑うつ気分」といいます。
抑うつ気分が続くと、「うつ状態」や「抑うつ状態」と呼ばれるようになります。この2つは基本的に同じ意味で、一時的な気分の落ち込みのことです。
うつ状態が長く続き、生活に支障がでるような事態になると、うつ病と診断されます。
うつ病は、「気分障害」といわれる精神疾患の一つです。眠れない、食欲がない、何に対しても意欲がわかないなどの症状が2週間以上続き日常生活に支障をきたすようになると、うつ病と診断される可能性が高くなります。
うつ病ではないかと受診する患者さんに、精神科医は、本人が自覚している病状(症状)を聞きます。
うつ病では、感情や行動、身体に「サイン」があらわれやすいです。以下に代表的なサインをまとめました。
・感情にあらわれるサイン
さびしい気持ち、わけもなく悲しい気持ち、むなしい気持ち、イライラして落ち着かない
・行動にあらわれるサイン
何をするにも意欲がもてない、何に対しても興味や関心がもてない
・体にあらわれるサイン
食欲がない、体がだるい、眠れない、動悸がする、疲れやすい、頭痛、肩こり、便秘、吐き気、めまい
これらはあくまで目安です。いつもと違うと感じたら、自己判断はせずに、医療機関で受診しましょう。
うつ病の人に見られる顔つき
うつ病の症状は、顔つきにあらわれることもあります。うつ病で苦しむ方の表情の変化を理解することは、本人にも周囲の人にとっても、より良い対応に繋がります。
以下は、具体的な表情の様子です。
- 無表情が多くなり口角が下がる
- 目がうつろで疲れている表情
- 集中力が低下し、ぼんやりとした表情
- 言葉数が少なくなり不自然な作り笑顔
- 声が小さくなり覇気のない重たい表情
これらの顔つきの変化は、本人には気づきにくいです。身近な家族や友人、職場の同僚から話しかけてみてください。
まず、日常的な会話から入り、その後表情の変化について切り出すのが現実的です。何かつらいと感じたり悩んだりしていることはないか、あまり重い雰囲気にならないように聞きます。
本人がつらさを認めた場合は、「無理をせずに休む」「働き方を上司に相談する」「医療機関の受診をすすめる」などのアドバイスをしましょう。
本人がつらさを認めない場合は、無理に何かをすすめることは逆効果になるので、「無理強いしないこと」が大前提です。「様子が心配だ」とだけ伝え、しばらく時間をおいて再度話しかけてみることをおすすめします。
うつ病の人がとってしまう行動
うつ病の方がとってしまう行動には下記のようなものがあります。
- 意欲が減退し、仕事や勉強が思うようにできなくなる
- うつ病の方の8割以上が睡眠障害を抱えている
- 口数が減り、自分から話題を提供することが無くなる
- 興味・関心が喪失する(日常生活全般に渡る)
- 人との接触を避ける(家族や古い友人などを含む)
- 服装や髪形に気を遣わなくなり、風呂にも入らない
- 食欲が低下し体重が減少する、逆に過食になるケースもある
- うつ病の方の3分の2が自殺を考え、10~15%の方が実際に自殺してしまう
意欲が減退して集中できないため、仕事や勉強でのミスは増え、作業効率も急激に低下します。遅刻や欠勤が目立つようになり、気がついたら無断欠勤してしまっているというようなことも起こります。
こういう時、うつ病の苦しさの一つは、怠けたりさぼったりしているように見えてしまうことです。
うつ病が日常生活に影響を与えるようになったら、そこをクリアにしてから、仕事や学校に行くことを考えるべきです。そのほうが自分にとっても職場や学校にとってもプラスになります。
まずは医療機関で、今の自分の状態を把握してから、家族や会社と相談しながら今後の方針を検討していくようにしましょう。
うつ病の人にやってはいけないこと
うつ病の方にやってはいけないことをまとめました。
- 過度な特別扱いはしない
- 「頑張れ」という言葉をかけない
- 一般的な判断を押しつけない
- 社交的な活動を強要しない
- 薬や治療法について意見を言わない
- その方の今の気持ちを否定しない
うつ病の方との接し方のポイントは、過度な特別扱いはせず、まずは本人の気持ちに寄り添って話を聞くということです。そしてリラックスできる雰囲気をつくっていくことが重要になります。
うつ病は、気の持ち方や気分を変えることでどうにかなるようなものではなく、深刻な健康問題です。「頑張れ」という言葉は、本人にとって重荷やプレッシャーになります。
うつ病は、患者さん一人ひとりで違う原因や症状をもっています。自分の考えや一般論で、その方の症状や感情の判断をしたり、医師でもないのに薬や治療法について意見したりすることはやめましょう。
また、うつ病の方の今の気持ちを否定して、社交的な活動を強要するようなことも避けなければなりません。
うつ病が重症化するとどうなるのか
うつ病では、初期症状と末期症状では現れ方に大きな違いがあります。初期症状を放置すると重症化し、末期症状を迎えてしまうことになります。
うつ病になりやすい人は、真面目で責任感が強く、完璧主義であることが特徴です。また人づきあいや面倒見が良く、朗らかでユーモアに富む人とも評価されます。
そのため、仕事や援助を頼まれることが多く、自分の能力を超えるような場合でも断ることができません。その結果、出来ない自分を責めてしまうようになります。
以上のようなことが度重なると、うつ病のサインのような初期症状が現れます。
家庭で見られる症状としては、口数が減る、ため息が増える、よく眠れない、食欲の低下などです。職場では、遅刻や欠勤が増え、今までなかったような失敗が目立つようになり、仕事の効率も落ちてきます
この状態を放置して治療しないでいると、重症化し末期症状となります。
末期症状は、動きが緩慢になり、人と接しなくなって引きこもるようになります。空虚感や孤独感が強くなり、生きていく希望がない、消えてしまいたいと考えるようになるのが特徴です。
そして、自殺願望など、常識を逸脱した思いにとらわれるようになります。
まとめ
うつ病について、以下の内容で紹介してきました。
- うつ病が増えている理由
- うつ病とうつ状態の違い
- うつ病の人に見られる顔つきや行動
- うつ病の人にやってはいけないこと
- うつ病が重症化するとどうなるのか
うつ病は、原因が解明され、治療法が完全に確立している病気ではありません。また、心の病という側面があるため、周囲の人は接し方に難しさを感じることもあるでしょう。
ただ重症化してからでは、社会復帰までの道のりは格段に険しくなり時間がかかるため、早期発見と早期治療が重要です。
周囲の方のあたたかい思いやりと、早期の適切な医療機関の治療が、うつ病の方を救う両輪になるものと考えます。
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