多汗症やワキガに悩む方は意外と多いのですが、恥ずかしくて周囲の人に気軽に相談できないという方は少なくありません。
自分は汗っかきだと感じていても、それが多汗症やワキガのような「病的な症状」といえるものなのか判断できないという方も多いです。
多汗症とワキガは併発することが多いとされていますが、原因や現れる症状は別物なので違いを理解しておく必要があります。
この記事では、多汗症やワキガの原因・症状・治療について分かりやすく紹介しています。
また特に切らないでする治療として注目されている「ミラドライ」についても説明していますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
多汗症とワキガの原因・症状・治療
ここでは、多汗症とワキガの一般的な原因・症状・治療について紹介します。
まず前段として、多汗症とワキガの疾患のメカニズムについて説明します。多汗症とワキガの違い、ワキガの重症度や多汗症の種類を知ることで、自分の「汗っかき」はどのレベルにあるのか、おおよその判断をするお手伝いになるはずです。
判断の過程で、不安や疑問が生じた場合は、医療機関を受診されることを強くおすすめします。
多汗症とワキガの疾患のメカニズム
多汗症とワキガを併発した場合、ワキガの方のニオイが、さらに強くなってしまうことがあります。しかし、多汗症の方が必ずワキガ臭を発するということではないのです。
ここを混同されている方が多いので、多汗症とワキガの違いについて理解しておきましょう。
多汗症とワキガの違い
多汗症は汗が多量に出てしまう状態で、通常はニオイを伴わないとされています。ワキガは医学用語では「腋臭症」といい、アポクリン腺の過剰分泌が原因で、わきから独特なニオイを発します。
誰もがもっている「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」は、汗を分泌することで体の恒常性を保つ働きをしています。この2つのうち、ワキガの独特なニオイを放つ汗は、アポクリン汗腺から分泌される汗です。
アポクリン汗腺は、耳、脇、乳首、へそ、外陰部などにあり、特に脇に多く存在している汗腺です。
アポクリン汗腺からの汗は、緊張を強いられたときに分泌するとされ、タンパク質や脂質を多く含んでいます。タンパク質や脂質を多く含んでいるため、皮膚の常在菌に分解されると独特なニオイを放ち、ベタベタとまとわりつきます。
これに対してエクリン汗腺は、額、胸、脇、手、足先など、全身に分布している汗腺です。
おもに体温調節のために汗を分泌し、辛い物を食べたときにも発汗します。分泌される汗にニオイはなく、アポクリン汗腺からでる汗と比べるとサラサラしています。
ただ汗をかいたまま放っておくと雑菌が繁殖して、におうことがあるので注意してください。
ワキガの重症度
「自分はワキガかな」と感じる方は、以下の項目に当てはまるかチェックしてみてください。
- 自分の脇からニオイがすると感じる
- 衣服の脇の下の部分が黄ばみやすい
- 脇毛や脇の下の皮膚に白い粉がつく
- 肉や乳製品が好きで多く摂っている
- 家族にワキガ体質の人がいる
- 日常生活でのストレスが多い
- 冬でも汗をかくことがよくある
- 脇の下の発汗量が多い
- 耳垢がいつも湿っている
- どちらかというと毛深い
以上の項目に当てはまるものが多いほど、ワキガの可能性は高くなります。
ワキガの医療的な治療を受けるかどうか判断するには、自分の「ニオイの程度」を知ることが必要になります。こういうとき使われるのが、実際に医師が行うことも多い「ガーゼテスト」です。
ガーゼを脇に挟んで軽度の運動をして、ガーゼのにおいを客観的に判断するものです。
- 1段階|まったくにおわない
- 2段階|少しにおう程度
- 3段階|鼻を近づけるとにおう(軽度腋臭症)
- 4段階|鼻を近づけなくてもにおう(中等度腋臭症)
- 5段階|少し持っただけでもにおってくる(重度腋臭症)
自分のニオイは自分では慣れてしまっているため、気づけないことがよくあります。少しでも「自分では段階が判断できない」と感じる場合は医療機関を受診しましょう。
多汗症の種類
一般的に、暑いと感じたり運動したりすると、体温調節のために汗をかきます。しかしこの体温調節が必要ないときに大量の汗をかいてしまうのが多汗症です。
多汗症は、脇や額、手のひら、足の裏で発症しやすいとされ、大きく原発性局所多汗症と続発性多汗症に分けられます。
原発性局所多汗症は、遺伝的要因、ストレスによるホルモンバランスの乱れなどが原因ではないかとされていますが明確にはわかっていません。
原発性局所多汗症は発症部位により、さらに4つに分類されますので、以下に概要をまとめました。
- 原発性手掌多汗症|手のひらに大量の汗をかき汗疹や細菌感染を起こしやすい
- 原発性腋窩多汗症|脇の下に大量の汗をかき日本人の20人に一人がかかるとされている
- 原発性足底多汗症|足底に大量の汗をかき靴下がびしょびしょに濡れるほどになる
- 原発性頭部顔面多汗症|暑くないのに、ベタつき蒸発しにくい汗を大量にかく
続発性多汗症は、内科的疾患や外傷、腫瘍などが原因で起こりやすいとされ全身の発汗量が多くなります。解熱剤や向精神薬など、薬剤の副作用で発症することもあります。
多汗症とワキガの原因と症状
多汗症の原因は、発汗が全身性のものか局所性のものかで違ってきます。
局所性のもので多い原因は、精神的な緊張によるものです。また手のひらと足底以外では、神経疾患が原因とされることも多く、多汗部位が左右非対称の場合は特にその可能性が高いとされています。
全身性の原因は、内分泌や代謝性、神経障害、薬剤副作用、感染症が原因になることがあります。また原因不明の突発性もありますので、気になるときは医師の判断を仰ぐべきです。
ワキガの原因のおもなものは、遺伝的要因、性ホルモンの作用、生活習慣の乱れとされています。
- 遺伝的要因|両親がワキガではもちろん、どちらか一方だけでも子供は発症しやすい
- 性ホルモンの作用|性ホルモンはアポクリン汗腺の働きを活発にする作用がある
- 生活習慣の乱れ|野菜や魚を摂らない、過度な飲酒や喫煙の習慣が原因となりやすい
以上に覚えのある方は、前述の「ワキガの重症度」の章でのチェックをおすすめします。
多汗症とワキガの検査・診断
多汗症が疑われる場合、医療機関では以下のような問診が行われます。
- 大量の汗で日常生活に困難を感じるか
- 異常な量の汗がでる頻度は1週間に1回以上か
- 汗の量に手・脚・脇などでの左右差があるか
- 最初に汗が出たときの年齢
- 睡眠中の汗が気になるか
- 親族に多汗症の人がいるか
このような問診の後、症状に合わせて以下のような3つの検査をして、医師による診断が行われます。
- ヨード紙法|ヨードデンプンを染みこませた紙を使用して重症度を判定する
- 重量計測法|ろ紙を付着させたビニール手袋を使用して汗の量を計測する
- 血液検査|多汗症の原因はさまざまなものが考えられるため血液検査を行うことがある
ワキガの術前検査では、問診とともに、耳垢タイプや自覚症状の確認、ガーゼテストなどが行われ重症度の診断が行われます。
現在では、ワキガの自己判断ができる「検査キット」も市販(10,000円程度~)されるようになりました。ニオイは目に見えないから不安という方は、購入を検討されてみてはいかがでしょうか。
多汗症とワキガの治療方法
ここでは多汗症とワキガの治療について、それぞれに分けて説明します。
多汗症の治療方法
多汗症の診察は、一般的に皮膚科や形成外科で行っており、神経疾患が原因とされる場合は「神経内科」を受診することもあります。
治療の種類としては、外用薬、イオントフォレーシス療法、ボツリヌス療法、外科的手術、その他となります。
外用薬治療
外用薬としては、塩化アルミニウムやミョウバンを含む溶液やクリームを用います。これらを多汗部位に毎日塗り続けることで、軽症の場合は約7割に効果がみられ、頻繁に通院することもなく比較的安価です。
まれに軽い副作用による、かぶれやヒリヒリ感を伴うことがあります。
イオントフォレーシス療法
特殊な装置により、脇の下に微弱な電流を片脇1日15分程度流すことで発汗を抑えます。健康保険の適用があります。
手足の多汗症の方に用いられることが多く、効果の持続時間は数日から数週間程度と短めです。定期的な通院処置が必要となります。
ボツリヌス療法
ボツリヌス毒素には、発汗を促す交感神経から汗腺への刺激をブロックする作用があります。これを脇の下に直接注射します。
1回の注射での効果の持続は4~9カ月とされ、注射時の痛み以外副作用はほとんどありません。治療には文書による同意が必要で、保険適用しても3万円程度の自己負担が必要です。
外科的手術
外科的手術には、胸部に挿入した内視鏡から交感神経を高周波で凝固する交感神経遮断や、汗腺を除去してしまう手術の2通りがあります。発汗をほぼ永久的に抑えることが可能です。
なお交感神経遮断手術には保険適用があります。手術であるため体への負担や、手術部位以外からの発汗が増えるなどの副作用がみられることもあります。
その他
その他の多汗症治療としては、以下のようなものが挙げられます。
- 神経ブロック|首に針を刺す方法で頻度は1~2週間に1回
- レーザー治療|汗腺自体をレーザーで破壊してしまう方法
ワキガの治療方法
ワキガ治療には大きく3つの種類があります。手術、注射、マイクロ波の3つです。
それぞれ向いている方とそうでない方がおり、メリット・デメリットもあります。それぞれの治療についてのポイントをまとめましたので参考にしてください。
手術(剪除法・皮弁法)
ワキガ治療の外科的手術である剪除法と皮弁法とは、同じ施術の別名です。
脇の皮膚を皮膚のシワに沿って、1ヶ所ないし2ヶ所3~5㎝切開して、アポクリン汗腺のある層を脂肪とともに切除します。皮弁状に皮膚を反転させて、露出したアポクリン汗腺を剪刀(ハサミ)で切除するため、剪除法とか皮弁法と呼ばれるのです。
術後はガーゼ塊を脇に挟み、テープなどで圧迫して、しっかりと固定します。
手術は通常、局所麻酔で行われますが全身麻酔も可能です。3~4日程度の入院で行われるのが普通ですが、状態によっては通院で行われこともあります。
注射(ボトックス)治療
ボトックス注射は、あくまで一時的に汗やワキガ臭を抑えるもので根治治療ではありません。患部(脇など)に注射を打つことで、エクリン汗腺を麻痺させて汗を抑えるものと捉えてください。
エクリン汗腺の分泌を減らすことで、皮膚表面の細菌の増殖が抑制されて、ワキガ臭は激減します。ただ即効性はなく、注射後数日~1週間程度してから効果が実感できるようになり、効果の持続は2~3ヶ月です。
基本的にボトックス注射に副作用はありません。ただ製剤(主に生理食塩水)の影響で、注射後1時間程度は、5ミリ大の膨疹ができますが吸収されます。
まれに内出血を起こす方がいますが、2週間以内には完全に消失します。
マイクロ波(ミラドライ)治療
最近、施術を求める方が急速に増えているのが「ミラドライ」です。ミラドライというのは、米国ミラマー社が製造・販売しているマイクロ波のレーザー機器の商標です。
切らないから痛くないし傷跡が残らない、施術が1日で済むなどの理由で、ミラドライによる治療が注目され人気となっています。
ミラドライは、脇の真皮深層から皮下組織浅層に存在する汗腺を、マイクロ波で約60~70℃に加熱することで破壊します。一度の治療で半永久的な効果が期待できます。
次の章では、このミラドライ治療について詳しく紹介します。
注目のミラドライ治療とは
ミラドライはメスを使わずマイクロ波を照射して、アポクリン汗腺やエクリン汗腺を破壊して、汗やニオイの発生を抑制する治療です。
メスを使わないため傷跡が残る心配がなく、一度の施術で効果を得られるため何度も通院する必要もありません。また一度に両脇を施術することが可能で、治療にかかる時間は1時間程度です。
ミラドライは局所麻酔をした後に、皮膚表面を冷却しながらマイクロ波を照射します。冷却することで施術中の痛みをできる限り抑え、皮膚を保護することができます。
ミラドライのマイクロ波は、照射する深さや幅が最適になるよう設定されていて、広範囲に均一に照射することが可能です。
一般的な治療の流れは以下のようになります。
- 事前に自宅で脇の毛を剃毛する
- 照射部位のマーキングと局所麻酔
- 冷却しながらサイズよりも広めに照射
- 照射後は脇の腫れを抑えるためのアイスパック
ミラドライ治療の注意事項についてまとめました。
- 施術した脇の毛量が減退することがある
- 施熱傷、水疱、色素沈着の恐れがある
- 施術部位に赤みや内出血が生じる場合がある
- 施術部位の感覚の違和感やツッパリ感が生じることがある
- 施術した部位とは違う部分に発汗が現れることがある
また皮膚の深い層にある汗腺が充分に破壊されずに残ると、治療から一定期間後に汗腺が回復し活発化することがまれにあります。
まとめ
ここまで、多汗症とワキガについて原因や症状、治療について紹介し、施術を求める方が増えているミラドライ治療についても説明しました。
どんな治療でもそうですが、まず大事なのは、事前に相談やカウンセリングのための時間をたっぷりと取ることです。自分が不安や疑問に思うことを、あらかじめメモしておくのもおすすめです。
ご自分の症状や要望を整理するためには、予備知識の積み重ねが欠かせません。この記事がその予備知識として、少しでも役立っているとしたら幸いです。
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